成績が上がらない子に共通する「たった1つの落とし穴」｜塾講師も使っている「課題発見」のコツ

お子さんがこう悩んでいたり、テスト勉強を見ていてなんとなく効率が悪そうだと感じたことはありませんか？

実はこの状態、私が塾講師として出会ってきた成績が伸び悩む子の100%に共通する特徴でした。

入塾してくる生徒たちは、例外なく「何を勉強すればいいかわからない」「がんばっているのに結果が出ない」という状態だったんです。

でも、その子たちの多くが、勉強法を変えただけで劇的に成績アップを達成しました。

中には、中学2年生の数学で23点だった生徒が67点まで伸びたり、中学3年生の理科で27点だった生徒が73点まで跳ね上がったりした例も数多くあります。

なぜ、そんな変化が起きたのか。

それは、私が子どもを伸ばす才能があったからではありません。「子どもの課題を発見するコツ」を知っていたからです。

今回は、その「課題発見のコツ」を詳しくお伝えします。この視点を知っているかどうかで、勉強の成果は驚くほど変わってきます。

「何を勉強すればいいかわからない」の正体

「数学ができない」 「読解力がない」 「応用力が足りない」

これ、お子さん自身も保護者の方も、なんとなくわかっていますよね。

でも、「じゃあ具体的にどうすればいいの？」と聞かれると、答えられない。

この状態こそが、成績が伸び悩む最大の原因なんです。

課題が抽象的だと、解決策も抽象的になってしまいます。「数学ができない」という認識では、「数学をがんばる」という対策しか出てきません。

でも、「数学をがんばる」って、具体的に何をすればいいかわかりますか？

ここが明確でないまま勉強を続けても、効果は出にくいんです。

抽象的な課題認識が招く「3つの失敗パターン」

課題認識が抽象的なままだと、次のような失敗に陥りやすくなります。

失敗パターン①　とりあえず量を増やす

「数学が苦手だから、問題集をもう1冊追加しよう」 「勉強時間が足りないから、1日30分増やそう」

こうした対策は、一見正しく見えます。

でも、「どこが苦手なのか」がわからないまま量を増やしても、できない問題はできないままです。

問題集を3周やっても、同じ問題で間違え続ける。そんな経験、ありませんか？

これは「やった」だけで「できるようになった」わけではないから起きる現象です。

失敗パターン②　全部やろうとして中途半端になる

「テスト範囲を全部勉強しなきゃ」 「苦手な単元が多すぎて、どこから手をつけていいかわからない」

こうなると、広く浅くしか勉強できません。

結果、どの単元も中途半端なままテスト本番を迎えることになります。

テストで点が取れるのは「できる状態にした問題」だけです。10個の単元を50%ずつ理解するより、5個の単元を100%理解するほうが、点数は上がります。

失敗パターン③　同じやり方を繰り返す

「前回のテストは65点だった。次はもっとがんばる」

この「もっとがんばる」が曲者です。

前回と同じやり方で、同じ教材を、同じように進めて、「もっとがんばる」だけでは、結果は3点アップ、5点アップとゆっくりの伸びにしかなりません。

同じやり方を続けるのではなく、やり方そのものを見直すことが大切なんです。

課題を「具体的に特定する」とはどういうことか

では、「課題を具体的に特定する」とは、実際にどうすればいいのでしょうか。

ポイントは2つあります。

ポイント①　「テストで間違えた問題」を具体的に見る

テストで間違えた問題は、「次に正解できれば、その分だけ点数が上がる問題」です。

つまり、間違えた問題こそが「伸びしろ」なんです。

「数学が苦手」ではなく、「一次関数のグラフの問題で失点している」 「英語ができない」ではなく、「英作文で文法ミスが多い」

このレベルまで具体化することで、何をすればいいかが明確になります。

ポイント②　間違えた問題を3つに分類する

間違えた問題は、実は3種類に分けられます。

1. 覚えていたけど、なぜかミスした問題 計算ミス、うっかりミス、時間切れで焦ったなど。本当は解けるはずだった問題です。

2. わかったけど、覚えていなかった問題 解説を読めば「あ、そうだった」と思い出せる問題。知識の定着が不十分だった問題です。

3. そもそもわからなかった問題 解説を読んでも「？」となる問題。土台となる基礎が固まっていない可能性があります。

1のミスには、練習量を増やすこと。ケアレスミスは「実力」です。ミスしない実力をつけるためにトレーニングが必要です。

2の覚えていなかった問題には、解き直しの回数を増やすこと。1回や2回では覚えられなくて当然です。得意な人でも5回、普通の人なら10回は解き直しています。

3のわからなかった問題は、いったん後回しにして、わかるところまで戻ること。九九がわからないのに二桁のかけ算はできません。土台を固めることが先です。

「5つの壁」で今の立ち位置を確認する

課題を具体化するもう1つの方法として、「お子さんが今どの壁にぶつかっているか」を見極める方法があります。

私は長年の指導経験から、成績には「5つの壁」があると考えています。

壁①　偏差値40の壁（テスト50点前後）

サイン：勉強時間がほとんど確保できていない。机に向かうこと自体がハードルになっている。

原因：勉強のハードルが高すぎる。

対策：「5分だけ」「1問だけ」でOK。できたことを徹底的に褒める。

壁②　偏差値50の壁（テスト60点前後）

サイン：勉強時間は確保しているのに、成績が上がらない。

原因：「できなかった問題をできるようにする」という基本ができていない。

対策：間違えた問題の解き直しを徹底する。解き直しなしで次に進むのをやめる。

壁③　偏差値60の壁（テスト80点前後）

サイン：解き直しまでやったのに、テストでできない。

原因：「できた」の基準が甘い。答えを見た直後の記憶で「できた」としている。

対策：時間を置いてから解き直す。「なんとかできた」ではなく「スラスラできた」を基準にする。

壁④　偏差値65の壁（テスト90点前後）

サイン：普段はできるのに、テストでは90点を超えられない。

原因：無意識に「これくらいでいい」と甘さが残っている。

対策：100点を目指す基準で勉強法を見直す。

壁⑤　偏差値70の壁（テスト100点）

サイン：100点を取れる実力があるのに、ミスで90点台になる。

原因：テストでの緊張、知識の穴が残っている。

対策：テスト形式での練習を増やす。過去のテストで100点が取れるまで復習する。

実際に劇的に変わった生徒の話

ある中学2年生の生徒の話をさせてください。

その生徒は、数学の定期テストで23点。塾にも通っていたのに、成績は上がらない状態でした。

保護者の方は「うちの子は数学の才能がないのかもしれない」と、半ばあきらめかけていたそうです。

でも、よく話を聞いてみると、こんな状況でした。

• 塾の宿題は毎回やっている
• でも、丸つけをしたら次のページに進んでいた
• 間違えた問題は解説を読んで「わかった」で終わり
• 同じ単元の問題を次に解いたのは1週間後のテスト本番

これでは成績が上がらないのは当然です。

「数学ができない」のではなく、「間違えた問題を解き直していなかった」だけだったんです。

そこで、シンプルに勉強法を変えました。

「間違えた問題は、その場で3回解き直す」

たったこれだけです。

最初は「3回も同じ問題を解くんですか？」と驚いていましたが、やってみると効果は歴然。

次のテストで67点。1回のテストで44点アップです。

保護者の方は、本当に驚いていました。

勉強法を変えただけで、こんなに変わる。才能の問題ではなく、やり方の問題だったんです。

課題を具体化する「実践ステップ」

では、実際にどうやって課題を具体化すればいいか、ステップをお伝えします。

ステップ1　直近のテストを引っ張り出す

まず、直近の定期テストや模試の答案を用意してください。

ステップ2　間違えた問題を1問ずつ見る

間違えた問題を、先ほどの3分類で分けていきます。

• これは覚えていたのにミスした問題？
• 解説を読めば「あ、そうだった」となる問題？
• 解説を読んでも「？」となる問題？

ステップ3　「次にできるようにする」ための対策を決める

分類ができたら、それぞれの対策を具体的に決めます。

ミスした問題→類題を時間を計って解く練習をする 覚えていなかった問題→解き直しの回数を増やす（最低5回） わからなかった問題→その単元の基礎に戻る、または先生に質問する

ステップ4　優先順位をつける

全部を一気にやろうとしないでください。

まずは「覚えていたのにミスした問題」と「覚えていなかった問題」から取り組みましょう。

この2つだけでも正解できるようになれば、ほとんどの場合、80点は超えられます。

保護者ができる「ここぞのサポート」

子どもの勉強をサポートする上で、「がんばりすぎない」ことが実は大切です。

あれこれアドバイスしすぎると、子どものモチベーションは下がってしまいます。

大人の仕事でも同じですよね。上司に細かく指示されすぎると、やる気がなくなるものです。

大切なのは、「ここぞというタイミングで、的確なアドバイスを1つだけする」こと。

具体的には、こんな声かけが効果的です。

効果的な声かけ①　テスト返却後

「テスト、どこを間違えたか見せてくれる？　一緒に分析してみようよ」

点数だけを見て叱るのではなく、「次にどうすれば点数が上がるか」を一緒に考える姿勢を見せましょう。

効果的な声かけ②　勉強中

「間違えた問題、もう一回解いてみた？」

勉強を監視するのではなく、解き直しの習慣がついているかどうかを確認するだけでOKです。

効果的な声かけ③　成長が見えた時

「前より解くのが早くなったね」 「この問題、前は間違えてたのに今回はできたね」

小さな成長を見つけて、具体的に褒めてあげてください。「やればできる」という実感が、次のやる気につながります。

「具体的な課題特定」で面白いほど伸びる

「何を勉強すればいいかわからない」 「やっても伸びない」 「どうすれば成績が上がるのか」

こう悩むのは、課題認識が抽象的であるサインです。

でも、逆に言えば、課題を具体的に特定できれば、解決策も具体的になるということ。

「数学ができない」→「一次関数のグラフの問題が解けない」 「点数が低かった」→「覚えていたのにミスした問題が5問あった」 「模試の判定が悪かった」→「大問3の正答率が20%だった」

ここまで具体化できれば、やるべきことは明確です。

伸びしろを特定して、そこに集中する。

これができると、面白いほど成績は伸びていきます。

勉強法を変えるだけで、短期間でも面白いほど伸びるようになります。

もし「うちの子に合った勉強法をもっと詳しく知りたい」と思われたら、ぜひ無料の勉強法講座も参考にしてみてください。

お子さんの成績アップを、心から応援しています。