
大阪大学卒/塾講師歴5年/家庭教師歴6年/E判定から阪大へ逆転合格/勉強法を教えた生徒は「2週間で苦手教科が27→73点」「定期テストの5教科合計200点以上アップ」「E判定から3ヶ月で逆転合格」など、劇的な成績アップを多数達成/著書『成績があがる中学生の勉強法』『だから勉強ができない20の考え方』
「またケアレスミスで20点も落としてる…」
テスト返却のたびに、こんなため息をつく保護者の方は多いのではないでしょうか。
「うちの子は不注意な性格だから」
「もっと落ち着いて問題を読めばいいのに」
そう思われるかもしれません。
でも実は、ケアレスミスの原因は性格や注意力の問題ではありません。
本当の原因は、正しい解き方の練習不足なんです。
ある中3生の保護者から相談を受けた事例を紹介します。
実際にテストの答案を見せてもらうと、確かに「あと一歩で正解」という問題ばかり。
符号のミス、計算の途中でのミス、最後の答えの写し間違い…
一見すると「もったいないミス」の連続でした。
でも、本人に詳しく話を聞いてみると、衝撃の事実が次々と明らかになったんです。
その生徒がやっていた勉強法を聞いて、私は「これではミスしても仕方ない」と確信しました。



これが最大の問題でした。
暗算に頼ると、どこで間違えたかわからないんです。見直しをしようにも、途中経過が残っていないので確認のしようがありません。
「テストは時間との勝負」と思い込んで、とにかく速く解こうとしていました。
でも実は、雑に速く解いて間違えるより、確実に解いた方が結果的に時間も点数も良くなるんです。



そもそも途中式を書いていないので、見直しをしようにも何をどう確認すればいいかわからない状態でした。
「ケアレスミス」とひとくくりにしていましたが、実は人それぞれミスしやすいパターンがあるんです。
この生徒も、自分がどんなミスをしやすいか全く把握していませんでした。



そこで、この生徒に3つのルールを徹底してもらいました。
「面倒でも、簡単でも、全ての計算で途中式を書く」
最初は抵抗がありました。



でも、これは野球の素振りと同じなんです。
プロ野球選手だって、試合前には必ず素振りをしますよね。「簡単だから」といって素振りを省略する選手はいません。
計算も同じです。普段から正しいフォームで練習していないと、本番でミスが出るんです。
急がば回れです。
「1行計算したら、その場で確認」を習慣にしました。
例えば、
この「確認しながら進む」習慣が、ミスを防ぐ最大の武器になります。
まず、過去のテストを分析して「どんなミスが多いか」を洗い出しました。
この生徒の場合、
つまり、この3つを重点的にチェックすれば、ミスの90%は防げるということがわかったんです。



最初の1週間は、正直大変だったそうです。



でも、2週間続けると変化が現れました。
「あれ?前より計算が速くなってる」
途中式を書くことで、逆に迷いがなくなり、スムーズに解けるようになったんです。
そして迎えた次の定期テスト。
結果は…計算問題はほぼ全問正解!



保護者の方も驚いていました。



実は、「ケアレスミス」という言葉自体が問題なんです。
「ケアレス(不注意)」という言葉を使うと、まるで性格や注意力の問題のように聞こえます。
でも違います。
計算ミスは「技術の問題」なんです。
料理で例えるなら、包丁の使い方が雑な人が「ケアレスで指を切った」と言っているようなもの。本当の原因は不注意ではなく、正しい包丁の使い方を練習していないことです。



よく「もっと注意して解きなさい」と言われます。
でも、「注意する」という精神論では解決しません。
なぜなら、テスト中は誰だって緊張するし、時間のプレッシャーもあるからです。
大切なのは、ミスしない仕組みを作ること。
プロのパイロットは、離陸前に必ずチェックリストを使います。「注意深いから大丈夫」ではなく、チェックリストという仕組みでミスを防いでいるんです。
勉強も同じです。
途中式を書く、1行ずつ確認する、自分のミスパターンをチェックする。
これらは全て「ミスを防ぐ仕組み」なんです。
では、具体的にどうやって練習すればいいのか。
宿題でも、小テストでも、とにかく全ての計算で途中式を書くことから始めてください。
最初は時間がかかるように感じますが、1週間続ければ必ず慣れます。
間違えた問題を集めた「ミスノート」を作ります。
ただし、問題を写すだけではダメです。
「どこでミスしたか」「なぜミスしたか」を必ず書いてください。
例えば、次のようなイメージです。
テスト前に、このミスノートを見返します。
「自分はここでミスしやすい」ということを意識するだけで、本番でのミスは激減します。



保護者の方にお願いしたいのは、「ケアレスミスだから仕方ない」と諦めないことです。
そして、「もっと注意しなさい」という声かけを変えること。
代わりに、こんな声かけをしてみてください。
「途中式は書いた?」
「どんなミスが多かったか分析してみよう」
「ミスを防ぐ工夫を一緒に考えよう」
精神論ではなく、具体的な方法論で応援することが大切です。
お子さんは決して「不注意な性格」なわけではありません。
正しい練習方法を知らないだけなんです。






高校受験で偏差値60以上を目指すなら、ケアレスミスは致命的です。
なぜなら、このレベルになると「基本問題は全員が解ける」から。
つまり、計算ミスをした時点で、他の受験生に差をつけられてしまうんです。
でも逆に言えば、計算ミスをなくすだけで偏差値は5以上アップする可能性があります。
実際、私が指導していた生徒も、計算ミスが減っただけで数学の偏差値が48から56にアップしました。



最後にもう一度お伝えしたいのは、ケアレスミスは性格や才能の問題ではないということ。
正しい方法で練習すれば、誰でも改善できます。
必要なのは、
この3つを徹底するだけです。
「うちの子は不注意だから」と諦める必要はありません。
勉強法を変えるだけで、短期間でも面白いほど伸びるようになります。
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