
大阪大学卒/塾講師歴5年/家庭教師歴6年/E判定から阪大へ逆転合格/勉強法を教えた生徒は「2週間で苦手教科が27→73点」「定期テストの5教科合計200点以上アップ」「E判定から3ヶ月で逆転合格」など、劇的な成績アップを多数達成/著書『成績があがる中学生の勉強法』『だから勉強ができない20の考え方』



わからない問題でも、すぐに答えを見ずに、自分の力で考え抜く。机に向かって、1問とじっくり向き合う。
一見、とても立派な勉強に見えます。「すぐ答えを見るのはズル」と教わってきた方も多いと思います。
でも、元塾講師として200人以上の生徒を見てきた経験から、はっきり言わせてください。わからない問題を長時間悩み続けても、実力は1ミリもつきません。
今回は、まさに「考え抜く勉強」の落とし穴にはまっていた中学2年生が、わからない問題への向き合い方を変えただけで、数学23点から67点まで伸びた話を紹介します。



その生徒は、勉強への姿勢だけ見れば、模範のような子でした。
わからない問題があっても、答えをすぐには見ない。ノートには、消しゴムのあとと計算の試行錯誤がびっしり。1問に30分、ひどいときは1時間近く粘ることもありました。
お母さんも、机で唸っている息子の姿を見て、「がんばっているな」と感じていたそうです。「ちゃんと考えてから答えを見なさい」と声をかけてきたのも、考える力をつけてほしいという愛情からでした。
それなのに、数学のテストは23点。あれだけ机に向かっているのに、結果はまったくついてきていませんでした。



本人は、そう思い込み始めていました。でも、彼の頭が悪いわけでは決してありません。悩んでいた時間が、実力に変わらない時間だっただけなんです。
彼の勉強を観察すると、こうなっていました。
ワークを開く。2問目でわからなくなる。30分悩む。解けない。疲れて、その日の勉強が終わる。
2時間勉強しても、進むのは見開き1ページ。しかも、悩んだ問題は結局解けないままなので、2時間かけて、できるようになった問題はゼロです。これが毎日繰り返されていました。
努力の量は誰にも負けていないのに、できる問題が1問も増えていない。23点という点数は、才能の結果ではなく、この仕組みの結果でした。
悩んで解けるのは、解くための材料がすでに頭の中にそろっている問題だけです。
料理にたとえると、わかりやすいと思います。冷蔵庫に材料が何も入っていないのに、キッチンに何時間立っていても、料理は完成しませんよね。それと同じで、解き方という材料が頭に入っていない問題は、何時間眺めても解けるようにならないんです。
つまり、彼の30分は「考えている時間」ではなく、持っていない材料を探して、頭の中が空回りしている時間でした。ここを誤解したまま粘っても、疲れと自信の喪失しか残りません。
「でも、考える力をつけるには、自力で悩むことが大事なんじゃないの?」と思われるかもしれません。
実は、逆です。考える力の正体は、頭の中にある「使える解き方の数」です。解き方をたくさん持っている子ほど、初めて見る問題でも、手持ちの材料を組み合わせて考えられます。応用問題も、新しい発想ではなく、基本の解き方の組み合わせでできているからです。
だから、考える力をつけたいなら、悩む時間を増やすのではなく、自力で使える解き方を増やすことが一番の近道です。
実際、塾で成績上位の子たちを観察すると、意外なことに、解説を見るまでがとても早いです。わからないと判断したら、ためらわずに解説を開き、解き方を仕入れて、すぐに自力で再現する。1時間で仕入れる解き方の数が、悩み続ける子の何倍にもなります。同じ1時間でも、これだけ中身が違えば、差が開くのは当然です。



彼に伝えた新しいルールは、シンプルです。
5分考えて手が止まったままなら、堂々と解説を見ていい。そのかわり、見たあとに解説を閉じて、何も見ずに自力で解き直すこと。
具体的な流れは、次の3ステップです。
手が動いているうちは、考え続けて構いません。でも、手が完全に止まって5分たったら、それは材料が足りないサインです。迷わず解説を開いてください。
これはズルではありません。料理の前に材料を仕入れるのと同じ、勉強の正しい手順です。
「テスト本番で粘れない子にならない?」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。本番で粘る力は、悩む練習からではなく、自力で解ける問題の蓄積から生まれます。普段の勉強は本番ではなく、仕入れの時間と割り切ってください。
解説を読むときは、答えの数字ではなく、「なぜこの式を立てるのか」「最初の一手はどこから来たのか」という解き方の流れを確認します。ここが、あとで自力で再現するための材料になります。
ここが一番大事です。解説を読んで「わかった」で終わると、それこそ本当のズルになってしまいます。
解説を閉じて、自分の手だけでもう一度解く。途中で詰まったら、また見て、また閉じて解く。何も見ずにスラスラ解けるようになるまで、3回でも5回でも繰り返します。ここまでやって、はじめて解き方が「自分の材料」になります。






もしお子さんが問題に固まっていたら、「ちゃんと考えなさい」ではなく、「解説を見ていいよ。そのあと、何も見ないで解けるかだけ確認してね」と声をかけてあげてください。
「答えを見ちゃダメ」という声かけは、愛情から出る言葉です。でも、その一言が、お子さんを「実力にならない30分」に縛りつけてしまうことがあります。見ることを許して、解き直しを促す。これだけで、同じ机の時間が何倍も濃くなります。
やり方を変えてから、彼の勉強は別物になりました。今まで1問で止まっていた2時間で、10問、15問と「自力で解ける問題」が増えていくようになったんです。
そして次の定期テストで、数学は67点。23点から、一気に44点アップです。






彼の勉強時間は、前とほとんど同じです。変わったのは、わからない問題の前で止まっていた時間が、解き方を仕入れて自分のものにする時間に変わったことだけ。そして皮肉なことに、解ける問題が増えた今のほうが、初めて見る応用問題にも粘り強く向き合えるようになりました。材料がそろったから、考えられるようになったんです。
わからない問題への向き合い方を正すだけで、私が指導してきた生徒たちは次のような結果を出してくれています。
お子さんが問題の前で長く唸っているなら、それは才能の限界ではなく、むしろ粘り強さの証拠です。その粘り強さを、解けない問題の前で消耗させるのではなく、解き直しに注ぎ込めるようになれば、努力はそのまま点数に変わり始めます。
今回の話をまとめます。
ただし、今回紹介した方法は、勉強法の正し方の一部です。実際の成績アップには、解き直しの質の上げ方や、テストまでの時間の使い方など、いくつかの要素が組み合わさってはじめて結果につながります。
お子さんが伸び悩んでいるのは、才能の問題ではなく、勉強法のズレが原因です。間違った勉強法をどこからどうやって正していけばいいのか、その全体像は、次の無料7日間講座で詳しく解説しています。よろしければ受け取ってみてください。
勉強法を正すだけで、短期間でも結果は劇的に変わります。問題の前で唸るお子さんの背中が、すいすいとページをめくる背中に変わる日を、ぜひ楽しみにしていてください。
教材や塾以上に大切なのは「勉強のやり方」です



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