解説を読んでもわからない問題は、解き直す問題ではなく「戻る合図」です|模試の数学が全く解けない中3へ。「全く解けない」の正体と、解説の「止まった行」で次の一手を3つに分ける方法を元塾講師が解説

この記事を書いた人
NAO / 家庭学習法アドバイザー

大阪大学卒/塾講師歴5年/家庭教師歴6年/E判定から阪大へ逆転合格/勉強法を教えた生徒は「2週間で苦手教科が27→73点」「定期テストの5教科合計200点以上アップ」「E判定から3ヶ月で逆転合格」など、劇的な成績アップを多数達成/著書『成績があがる中学生の勉強法』『だから勉強ができない20の考え方』

模試の数学が、ほとんど解けない。家で解き直そうと解説を開いても、「なぜこの解き方になるのか」が分からない。

調べても分からず、手が止まり、やる気まで消えていく。お子さんのそんな姿を見て、「この子には数学の才能がないのかもしれない」と感じ始めている方もいると思います。

塾で同じ悩みを何十回も聞いてきた元塾講師の立場から、解説を読んでも分からない問題との向き合い方を、不安を感じている方にお伝えします。

 
模試の数学、全然解けなかった。解説を読んでも、なんでそこでその式を使うのか分からない。もう無理なのかな…

先に、いちばん大事なことをお伝えします。

解説を読んでも分からない問題は、がんばって理解する問題でも、解き直す問題でもありません。「戻る合図」です。

そして、「全く解けない」の正体は才能ではなく、今の現在地より上の問題を解いていることです。

解説のどの行で止まったかを見るだけで、次にやることは3つに分かれます。その見つけ方と分け方をお話しします。

目次

「全く解けない」の正体は、才能ではなく「現在地より上の問題」です

模試の1問は、基本が3つつながってできている

模試や実力テストの数学は、定期テストと作りが違います。

定期テストの問題は、習ったばかりの単元の基本を1つ使えば解けます。模試の問題は、別々の単元の基本を2つ、3つつなげて1問ができています。

たとえば、グラフの上の三角形の面積を求める問題。中2の一次関数で直線の式を出し、中1の座標で交点を読み、小学校の面積の公式で計算する。3つの基本の組み合わせです。

1つ抜けていると、残りの2つも見えなくなる

この3つのうち、直線の式を出す基本が1つ抜けているとどうなるか。

解説の2行目で手が止まります。「なぜここで式を出すのか」が分からないので、その先の交点も面積も、全部が意味の分からない作業に見えます。

本当に抜けているのは1つだけです。でも、1つ抜けると、問題全体が「全く分からない問題」に見えるんです。

これが、模試の数学が全く解けない子の答案の中で起きていることです。3つのうち2つは持っているのに、点数は0点になります。

解説が読めないのは、理解力ではなく「前提の1行」がないから

解説は、お子さんに分かるように書かれています。ただし、前提になる基本が入っている子に向けて、です。

前提の1行が抜けている子にとって、解説は途中から外国語になります。

私は問題を3つの段階で見ています。解説を読んで納得できる「わかる」、自分の手で正解できる「できる」、迷わず手が動く「スラスラできる」。この順番で○に近づいていきます。

解説を読んでも分からない問題は、この1つ目の「わかる」にすら、まだ来ていない問題です。ここを間違えると、あとの努力が全部空回りします。

NAO
解説が読めないのは、頭が悪いからではありません。解説が前提にしている1行を、まだ持っていないだけです。その1行は、たいてい前の学年の基本問題の中にあります。

解説を読んでも分からないときに、やってはいけない3つのこと

何時間も考え続ける

真面目な子ほど、分からない解説の前で30分、1時間と考え続けます。

でも、持っていない1行は、考えても頭の中から出てきません。考える時間は、実力に変わらない時間です。

解説をノートに写す

分からないまま解説を写すと、ノートは埋まります。勉強した感じも残ります。

でも、写した解説をあとで読み返しても、やはり読めません。読めない文章は、何回書いても読めるようになりません。

答えだけ覚えて、解き直しの回数を重ねる

いちばん多いのがこれです。「解き直しが大事」と知っている子ほど、分からない問題も5回解こうとします。

解き直しは、「わかる」を「できる」「スラスラできる」に変える道具です。「わかる」に来ていない問題には使えません。

解説が読めない問題を5回解いても、答えを覚えるだけで、○にはなりません。数字が変われば、また解けません。

 
解き直しをしなさいと言い続けてきました。でも、解説が分からない問題を解き直しても意味がなかったということですか…
NAO
解き直しが悪いのではなく、順番が1つ手前に必要だっただけです。解説が読める問題は解き直す、読めない問題は戻る。この分け方を家庭で持つだけで、同じ勉強時間が点数に変わり始めます。

解説の「止まった行」を見つけると、次の一手は3つに分かれます

止まった行の見つけ方

やることは、紙と鉛筆だけでできる3つです。

  1. 解説を、上から1行ずつ声に出して読む。飛ばし読みをしない
  2. 「ここまでは分かる」と言える最後の行に、線を引く
  3. その次の行に印をつける。それが「止まった行」

「全部分からない」と言う子でも、1行目から分からないことはほとんどありません。たいてい2行目か3行目で止まっています。全く分からない問題が、止まった1行の問題に変わる瞬間です。

止まった行の中身で、やることを3つに分ける

止まった行を見て、どれに当たるかを分けてください。

  • 戻る その行に、知らない言葉・使えない公式・できない計算がある。たとえば「直線の式を求めると」で止まった。前の単元の基本問題へ戻る合図
  • 聞く 言葉も計算も分かるのに、「なぜここでそれをするのか」だけが分からない。先生にその1行だけを質問する。問題ごと聞く必要はない
  • 解き直す 最後まで読めて納得できたのに、自分の手では再現できない。これが本当の解き直しの対象。答えを閉じて、スラスラ解けるまで繰り返す

模試の数学が全く解けない子の問題は、ほとんどが1つ目の「戻る」です。3つ目の「解き直す」に見えていた問題が、実は1つ目だった。ここに気づくだけで、勉強の中身が変わります。

戻る先は、止まった行が教えてくれる

「戻る」と聞くと、中1の最初からやり直す姿を想像する方が多いです。違います。

止まった行が「直線の式」なら、戻る先は中2の一次関数の基本問題だけです。「比例式」なら中1の比例、「平方根の計算」なら中3の最初の単元。

戻る場所は、止まった行が名指しで教えてくれます。だから1ヶ所で済み、長くても1〜2週間で戻ってこられます。

戻った単元の基本問題がスラスラ解けるようになったら、止まっていた解説をもう一度読んでください。外国語だった行が、日本語に戻っています。そこから先は、3つ目の「解き直す」です。

戻るかどうかを「今の問題集の解説がスラスラ理解できるか」で決める判定基準と、できるところまで戻ってから解説を読めば分かる問題をスラスラ解けるまで繰り返す回数は、無料の7日間講座で1日1テーマずつ具体的に解説しています。

よくある誤解「解説が分からないのは理解力の問題」の正体

誤解1 解説を読んで分からないのは、理解力が足りないから

理解力の差は、ほとんどありません。差があるのは、解説が前提にしている基本を持っているかどうかです。

同じ子が、前提の1行を持っている問題の解説なら、すんなり読めます。読める解説と読めない解説の違いは、お子さんの頭ではなく、問題の側にあります。

誤解2 模試の問題は難しいから、たくさん解けば慣れる

現在地より上の問題を、たくさん解いても慣れません。解説が読めない問題が増えるだけです。

慣れるのは、止まった行を埋めたあとです。1ヶ所戻って基本が入ると、同じ模試の問題が、急に「読める問題」に変わります。

誤解3 中3の秋に戻るのは、遅れること

戻るのは1ヶ所、1〜2週間です。その2週間で、模試の中の「全く分からない問題」が「解き直せる問題」に変わります。

戻らずに模試の問題を解き続ける2週間と、どちらが入試に近づくか。戻る2週間のほうが、点数ははっきり近づきます。

 
塾からは「中3の秋に戻る時間はない。入試問題で慣れていくしかない」と言われています。それでも戻るべきなんでしょうか。
NAO
全部戻る時間はありません。でも、止まった行の1ヶ所に戻る時間は、必ずあります。その1ヶ所を飛ばしたまま入試問題を解き続けた子を、私は何人も見てきました。1ヶ所戻った子のほうが、先に入試問題が解けるようになりますよ。

模試の数学が全く解けなかった中3が、1ヶ所戻って31点から65点になった話

解説を読んでも分からず、泣きながら写していた

偏差値55の高校を目指す中3の女の子を、秋から担当しました。模試の数学は100点満点で31点。定期テストは70点前後取れていました。

模試のあと、解説を読んでも分からない問題を、夜遅くまでノートに写していたそうです。お母さんは「真面目なのに、なぜ」と、やり方を疑うより先に才能を疑い始めていました。

止まった行は、全部同じ場所だった

模試の×の解説を、一緒に1行ずつ読みました。

止まった行は、関数の問題も図形の問題も、ほぼ同じでした。「2点を通る直線の式を求める」の行です。中2の一次関数の基本が、1つ抜けていました。

本人は「数学が全部できない」と思っていました。実際に抜けていたのは、この1ヶ所だけでした。

1週間戻って、解説が日本語に戻った

模試の解き直しをいったん止めて、中2の問題集の一次関数の基本問題だけを、1週間でスラスラまで繰り返しました。

そのあと、止まっていた解説を読み直してもらうと、「あ、これ読める」と言いました。そこから模試の×を解き直しに回しました。

次の模試で、数学は31点から65点になりました。新しく習ったことは、1つもありません。

 
才能がないと思って、志望校を下げる相談までしていました。抜けていたのが1ヶ所だけだったなんて、親子で気づけませんでした。
NAO
「全く解けない」と「1ヶ所抜けている」は、答案の上では同じ0点に見えます。でも直し方はまったく違います。点数の差は才能ではなく、どこから手をつけるかの差なんです。

お母さんにできるのは「どこが分からないの?」をやめることです

「どこが分からないの?」には、答えられない

解説が読めない子に「どこが分からないの?」と聞くと、「全部」と返ってきます。本人にも、どこが抜けているか見えていないからです。

この質問は、お子さんに「自分は全部できない」と言わせてしまいます。

代わりに聞く一言

 
解説、どの行まで読めた?

この聞き方なら、お子さんは解説を指で追いながら答えられます。「ここまでは分かる」が言えた瞬間に、「全部分からない」が「ここから分からない」に変わります。

お母さんが数学を教える必要はありません。止まった行を一緒に見つけるだけで十分です。その行に知らない言葉があれば戻る、「なぜ」だけなら先生にその1行を聞く。分け方は上の3つです。

止まった行が見つかった日は、それだけでいい

1日で問題を解けるようにする必要はありません。止まった行が1つ見つかれば、その日の勉強は前に進んでいます。

「今日、止まった行が見つかった?」と、1日の終わりに聞いてあげてください。

目標点との差を埋める場所を前回のテストの×から見つける考え方と、勉強の最後に「今日は何ができるようになった?」と確かめる合言葉は、無料の7日間講座で順を追ってお話ししています。

まとめ 解説を読んでも分からない問題は「戻る合図」

この記事のまとめ
  • 模試の1問は別々の単元の基本が2〜3個つながってできている。1つ抜けると問題全体が「全く分からない問題」に見える
  • 解説が読めないのは理解力ではなく、前提の1行がないから。その問題は「わかる」にも来ていないので、解き直しても答えを覚えるだけ
  • 解説を1行ずつ読み、「ここまでは分かる」最後の行に線を引く。次の行が止まった行
  • 止まった行の中身で分ける。知らない言葉・公式・計算→前の単元へ戻る。「なぜ」だけ→先生にその1行を聞く。全部読めるのに再現できない→解き直す
  • 戻る先は止まった行が名指しで教えてくれるので1ヶ所・1〜2週間で済む。声かけは「どこが分からないの?」ではなく「解説、どの行まで読めた?」
NAO
解説を読んでも分からない問題にぶつかったとき、お子さんの中では「自分には無理」が育っています。でも本当は、戻る場所が1ヶ所見つかっただけです。その1ヶ所を埋めた子から、模試の数学は解けるようになっていきますよ。

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  • 偏差値70の高校へ入学
勉強に自信をなくした高校時代
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  • 全国共通模試でも偏差値50以下まで低下
  • なぜか阪大を受験し当然のように玉砕
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  • 中学時代と高校時代での勉強法の違いに気づく
  • 中学時代の勉強法をベースに研究し勉強法を正す
  • 半年でE判定からA判定へ上がり阪大へ合格
  • 勉強は才能ではなく、やり方ではないか?
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  • 勉強は才能の問題ではなく、勉強法が大切と確信
  • 全ての人に勉強の才能はある
  • 生徒の「勉強って将来役立つの?」の疑問を研究したい想いが強くなる
子どもの将来のために「勉強法を今すぐ正すべき」だと確信
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