定期テストの英語は80点なのに、模試になると50点台の中3へ|「長文が苦手」ではありません。定期テストの○が「本文を覚えた○」だった理由と、長文問題集を足さずに教科書で「初めての文」を読めるようにする2ヶ月の順番を元塾講師が解説

この記事を書いた人
NAO / 家庭学習法アドバイザー

大阪大学卒/塾講師歴5年/家庭教師歴6年/E判定から阪大へ逆転合格/勉強法を教えた生徒は「2週間で苦手教科が27→73点」「定期テストの5教科合計200点以上アップ」「E判定から3ヶ月で逆転合格」など、劇的な成績アップを多数達成/著書『成績があがる中学生の勉強法』『だから勉強ができない20の考え方』

英語の定期テストは、毎回80点台。塾の単語テストもほぼ満点。それなのに、11月の模試の英語は52点だった。

答案を見ると、長文の大問がごっそり×。塾からは「長文に慣れていないので、長文の問題集を増やしましょう」と言われた。

定期テストでこれだけ取れる子が、なぜ模試になると半分しか取れないのか。入試まで3ヶ月、今から長文を増やして間に合うのか。

不安を感じている中3の保護者の方は多いと思います。

この記事では、元塾講師の私が、定期テストの英語は取れるのに模試で取れない本当の理由をお伝えします。

そのうえで、長文問題集を足さずに2ヶ月で模試の英語を定期テストに追いつかせる順番を、お悩みの方にお伝えします。

 
定期テストの英語は80点台なんです。でも模試だと50点そこそこで、長文がほとんど取れていなくて…。やっぱり長文の問題集を足したほうがいいんでしょうか。

先に結論をお伝えします。お子さんは、長文が苦手なのではありません。

定期テストの80点が、「英語を読めた80点」ではなく「本文を覚えていた80点」だったんです。

定期テストの英語は、教科書の本文がそのまま出ます。本文の日本語訳を覚えていれば、読めなくても点が取れます。

模試の長文は、全部が初めての文です。

つまりお子さんは、「初めての英文を読む」という練習を、中1から一度もしたことがないまま中3の11月を迎えています。

足りないのは長文の量ではなく、初めての1文を読む工程です。これは2ヶ月で身につきます。

目次

定期テストの英語80点は「本文を覚えていた80点」です

定期テストの英語は、本文を知っているかどうかの試験です

中学の英語の定期テストを思い出してみてください。長文の大問は、教科書の本文です。

並べ替えも、空所補充も、本文の文がそのまま使われます。

だから、テスト前に本文の日本語訳を覚えた子は、英文を読まなくても、思い出すだけで答えられます。「この行は、確か〜という意味だった」で正解になるんです。

これは悪いことではありません。定期テストで本文を仕上げるのは正しい勉強です。問題は、仕上げ方が「訳を覚える」になっていたことです。

「読めた」と「思い出せた」は、答案の上では同じ○に見えます

本文の訳を覚えて○になった問題と、英文を読んで○になった問題は、答案の上では区別がつきません。どちらも○です。

お子さん本人も区別がついていません。英語はできる、と思ったまま、3年間が過ぎます。保護者の方も、80点の答案を見て安心します。

この区別が初めてつくのが、中3の秋の模試です。

知らない文だけで作られた長文の前で、思い出す材料が1つもない。そこで初めて、52点という形で見えるんです。

模試の長文は、全部が初めての文です

模試や入試の長文は、お子さんが一度も見たことのない文で書かれています。訳を思い出す勉強は、ここで1点にもなりません。

そして、定期テストで80点取れる子ほど、初めての文を読む練習をしていません。必要がなかったからです。定期テストでは、覚えるほうが速くて確実でした。

長文が苦手なのではなく、練習していない工程がある。これが、定期テストと模試で30点差がつく正体です。

NAO
定期テストで80点取れていること自体が、お子さんの強みです。覚える力も、仕上げる力もある。足りないのは、初めての1文を読む工程だけ。それは、これからお話しする順番で足せます。

「読める」とは、主語と動詞を見つけて、形から意味を作ることです

英文は、主語と動詞を見つけた瞬間に半分読めています

初めての英文を読むとは、単語を1つずつ日本語に置き換えることではありません。

「誰が」「どうした」を先に見つけて、残りの言葉をそこにくっつけていくことです。

中学英語の文は、主語と動詞さえつかめば、あとは「何を」「いつ」「どこで」が後ろに並ぶだけです。

知らない単語が1つ2つあっても、形がつかめていれば意味は作れます。

訳を覚える勉強では、この「形をつかむ」工程を一度も通りません。

覚えた訳が出てくるだけなので、主語も動詞も探す必要がないからです。

覚えた訳か、形で作った訳かは、1つの質問で見分けられます

教科書の本文を1文、お子さんに訳してもらってください。すらすら訳せます。そのあとに、こう聞いてみてください。

この文の主語と動詞、指さして。

訳は言えるのに、指が止まる。これが「覚えた訳」の印です。読めている子は、訳すより先に主語と動詞を指せます。

この質問は、保護者の方が英語を忘れていてもできます。

指さした場所が合っているかは、教科書ガイドや塾の先生に確かめてもらえば十分です。

教科書の本文は、初めての文を読む練習に使えます

ここが大切なところです。初めての文を読む練習に、新しい長文問題集はいりません。

中1と中2の教科書の本文は、お子さんにとって「訳は覚えているけれど、形で読んだことのない文」の山です。

訳を思い出すのを禁止して、主語と動詞から読み直す。それだけで、手元の教科書が長文問題集になります。

しかも、単語は全部知っている文です。知らない単語で止まらない分、形をつかむ練習だけに集中できます。

模試の英語を2ヶ月で定期テストに追いつかせる順番

用意するのは、中1・中2の教科書と、直近の模試の問題用紙と答案です。長文問題集も、新しい単語帳も、今は買いません。

  1. 中2の教科書の本文を1つ開く。訳を思い出さず、1文ずつ主語と動詞に線を引く
  2. 線を引いた形から、自分で日本語を作る。覚えていた訳と違ってよい
  3. 教科書ガイドや塾の訳と比べて、意味ではなく「主語と動詞の取り方」が合っていたかで○×をつける
  4. ×の文に印をつける。印の文だけを、翌日・3日後・1週間後に、何も見ずにもう一度読む。2回続けて○になるまで
  5. 1日10文。中2の本文が終わったら中3へ。中2で×が多ければ中1へ戻る
  6. 模試の長文は、解けなかった大問の本文を1文ずつ同じ手順で読む。×の文が「読めなかった場所」であり、次の模試までの相手になる

1日10文、2ヶ月で600文。長文問題集20冊分の「初めての文」です

1日10文なら、15分で終わります。2ヶ月で600文。

長文の問題集1冊に入っている文の数は、せいぜい300文です。

しかも×の文だけを5回読み直すので、読めなかった形が、読める形に変わっていきます。長文問題集を解いて丸つけをして終わる勉強では、この変化が起きません。

○の基準は「訳が合っている」ではなく「形が合っている」です

覚えた訳が出てくる文は、○にしないでください。訳が合っていても、主語と動詞を指せなければ×です。

逆に、日本語が少しぎこちなくても、主語と動詞を正しく取れていれば○。この基準に変えた瞬間から、教科書が初めての文に戻ります。

中2の本文で×が半分を超えるなら、中1に戻ってください

中2の本文で主語と動詞が取れない文が半分を超えるなら、現在地は中1です。戻ることは遠回りではありません。

中1の本文は短く、形が単純です。1週間で形の取り方が入ります。そこから中2に上がったほうが、結局は速く届きます。

英語が20点台の中3が、長文対策をやめて1文に戻る順番はこちらの記事に書きました。定期テストで取れている子は、この記事の順番のほうが合います。

×を○に変える解き直しで答えではなく読み方を身につける考え方と、スラスラ読めるまで繰り返す回数、できるところまで戻る判定基準は、無料の7日間講座で1日1テーマずつ具体的に解説しています。

よくある誤解「長文に慣れれば読めるようになる」の正体

誤解1 長文をたくさん解けば、慣れて読めるようになる

読めない文を10本読んでも、読めない文が10本積み上がるだけです。慣れで読めるようになるのは、もともと形を取れている子です。

形を取れていない子が長文を増やすと、「なんとなく単語を拾って、選択肢を勘で選ぶ」が上手になります。

模試の点数は、勘が当たった回だけ上がって、また下がります。

誤解2 単語を覚えれば、長文は読める

定期テストで80点取れている子は、単語はすでに足りています。

模試の長文で止まっているのは、知らない単語ではなく、知っている単語の並びです。

単語帳を1冊増やすより、知っている単語で書かれた教科書の本文を、形で読み直すほうが先です。

誤解3 入試まで3ヶ月では、読む力はもう間に合わない

読む力を今から育てるなら、たしかに時間が足りません。でも、お子さんに足りないのは力ではなく、工程です。

単語も文法も頭に入っている子が、主語と動詞から読む順番に変えるだけ。材料はそろっていて、組み立て方を変えるだけなので、2ヶ月で届きます。

 
教科書の文、訳は全部言えるのに、主語と動詞って言われたら止まった。読めてたんじゃなくて、覚えてただけだったんだ。
NAO
それに気づけたのが、今日の収穫です。覚える力がある子は、形の取り方も速く覚えます。あとは、覚えた訳を一度しまって、主語と動詞から読み直すだけですよ。

定期テスト80点台・模試46点だった中3が、1月の模試で78点になった話

11月の模試で英語46点。長文の大問は3つとも半分以下でした

私が個別指導で見ていた、中3の女の子です。英語の定期テストは中1からずっと80点台。塾の単語テストも満点が続いていました。

ところが11月の模試の英語は46点。文法の小問は取れているのに、長文の大問3つがどれも半分以下。

お母さんは「長文の問題集を2冊買いました」と言っていました。

教科書の本文を訳してもらうと、全部言えました。主語を聞くと、止まりました

中2の教科書を開いて、本文を訳してもらいました。1ページ、ほぼ完璧に訳せます。

次に、「この文の主語と動詞は?」と聞きました。最初の文で指が止まりました。

10文のうち、主語と動詞を正しく指せたのは3文でした。

3年分の80点が、訳を覚えた80点だったことが、この10文ではっきりしました。

長文問題集は開かず、教科書を1日10文、2ヶ月

買った長文問題集は、いったんしまってもらいました。やったのは、中2と中3の教科書の本文を、訳を思い出さずに主語と動詞から読み直すこと。

1日10文、×の文は印をつけて日をあけて読み直す。それだけです。

1月の模試で、英語は46点から78点。長文の大問は3つとも8割を超え、定期テストの点数に追いつきました。

 
長文の問題集を2冊も買ったのに、使ったのは教科書だけでした。読めていると思い込んでいた3年間が、2ヶ月で本当に読めるに変わるなんて。
NAO
3年間の80点はムダではありませんでした。単語も文法も、その中でちゃんと身についていたからこそ、2ヶ月で届いたんです。点数の差は才能ではなく、読む工程を通ったかどうかの差だけでした。

お母さんにできるのは「この文の主語と動詞、指さして」の一言です

英語を教える必要はありません。読めているか、覚えているかを見分ける質問を、1つ持っていれば十分です。

  • 「この文の主語と動詞、指さして」(教科書の本文を訳してもらったあとに。指が止まった文が、練習する文)
  • 「今日は、主語と動詞が取れなかった文、何文あった?」(「長文解いた?」の代わりに。×の数を聞く)
  • 「先週×だった文、今日は読めた?」(印の文を日をあけて読む日に)
  • 模試が返ってきたら、「何点だった?」より先に「長文で、読めなかった文はどれ?」

「長文解いた?」と聞くと、お子さんは「解いた」と答えて終わります。

「主語と動詞、指さして」と聞くと、お子さんは英文を見直します。その見直しが、初めての文を読む練習そのものです。

模試の長文で読めなかった文は、次の模試までのいちばんのヒントです。読めなかった文の形を1つずつ○にしていけば、模試の英語は定期テストに追いつきます。

まとめ 模試の英語は、長文を足すのではなく「読む工程」を足せば2ヶ月で追いつきます

この記事のまとめ
  • 定期テストの英語は本文がそのまま出るので、訳を覚えていれば読めなくても80点が取れる。模試の長文は全部が初めての文で、覚えた訳は1点にもならない
  • 読めたと思い出せたは答案の上では同じ○に見え、中3の秋の模試で初めて区別がつく。長文が苦手なのではなく、初めての1文を読む工程を通っていないだけ
  • 読むとは、主語と動詞を見つけて形から意味を作ること。覚えた訳か形で作った訳かは「主語と動詞、指さして」で見分けられる
  • 教科書の本文を、訳を思い出さず主語と動詞から読み直す。○の基準は訳ではなく形。×の文だけ日をあけて5回、1日10文を2ヶ月
  • 長文問題集と単語帳は足さない。中2で×が半分を超えるなら中1に戻る。聞くのは「長文解いた?」ではなく「主語と動詞、指さして」
NAO
定期テストは取れるのに模試で落とす答案を見て、「長文が苦手なんだ」とため息をついてきた方へ。今夜、教科書を1ページ開いて、「主語と動詞、指さして」と聞いてみてください。指が止まった文の数だけ、模試の英語には伸びしろが残っています。3年分の80点は、ムダではありませんでした。

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