
大阪大学卒/塾講師歴5年/家庭教師歴6年/E判定から阪大へ逆転合格/勉強法を教えた生徒は「2週間で苦手教科が27→73点」「定期テストの5教科合計200点以上アップ」「E判定から3ヶ月で逆転合格」など、劇的な成績アップを多数達成/著書『成績があがる中学生の勉強法』『だから勉強ができない20の考え方』



用語を10回ずつ書かせている。教科書も読ませている。それなのに、テストでは覚えていない。昨日覚えたはずのことを、今日にはもう忘れている。
こうなると、「うちの子は記憶力が悪いのかも」と思ってしまいますよね。でも、元塾講師として断言します。記憶力が悪い子は、いません。いるのは、「思い出す練習」をしないまま本番を迎えている子だけです。
今回は、書いても書いても覚えられなかった中学2年生が、覚え方の形を1つ変えただけで、社会63点から79点になった話を紹介します。



その生徒の社会のノートは、見事なものでした。テスト前になると、重要な用語をノートに10回ずつ書く。教科書を何度も読み返す。重要語句をまとめた自分専用の暗記ノートまで作っていました。
それなのに、社会のテストはいつも63点前後。「暗記すれば取れる」と言われる教科で、平均点の少し上から動けずにいました。



この「見たことあるのに出てこない」という言葉に、原因のすべてが詰まっていました。
彼の勉強の中身を分解すると、こうなっていました。
教科書を読む。これは「見る」です。用語を10回書く。お手本を見ながら写しているので、これも実は「見る」です。まとめノートを作る。教科書を見ながら書き写しているので、やはり「見る」です。
つまり、何時間勉強しても、何も見ずに頭の中から答えを引っぱり出す「思い出す」という行為が、ただの一度も起きていなかったんです。
テスト本番でやることを、思い浮かべてみてください。教科書もノートも見られない状態で、頭の中から答えを思い出して書く。これがテストです。
ところが、「見る・読む・写す」型の勉強しかしていない子は、この「思い出す」という行為を、テスト本番で人生初挑戦しています。練習していないことを本番でいきなりやらされているのだから、できないのは当たり前なんです。記憶力とは何の関係もありません。
「見たことあるのに出てこない」の正体も、これでわかります。見る勉強は、「見たことがある」という感覚だけを量産します。でも、テストで点になるのは「見たことがある」ではなく「思い出せる」です。この2つは、似ているようでまったく別の状態なんです。
記憶力が良いように見える子は、生まれつき脳が違うわけではありません。覚えようとする時間の中に、「隠して、思い出す」という瞬間がたくさん入っているだけです。記憶の差は、才能の差ではなく、思い出した回数の差です。
「でも、自分は学生時代、書いて覚えられたけど」と思われた方もいるかもしれません。実は、書いて覚えられた人は、無意識のうちに、お手本を見ずに思い出しながら書いていたんです。同じ「書く」でも、見ながら写すのと、隠して思い出しながら書くのとでは、まったくの別物。書くこと自体が悪いのではなく、隠しているかどうかが分かれ目です。



彼に伝えた新しい覚え方は、たった1つの動作を足すだけでした。
覚えたいものは、見る前にまず隠す。隠して、思い出してから、合っているかを確認する。
具体的には、次の3ステップです。
ワークの答えを赤シートで隠す、ノートを折る、手で覆う。やり方は何でも構いません。大切なのは、覚える時間の最初を「見る」ではなく「思い出そうとする」から始めることです。
思い出せないときも、すぐには見ません。3秒だけ、頭の中を探してください。この「思い出そうとして探した時間」こそが、記憶の通り道を太くしてくれます。3秒探して出てこなければ、答えを見てOKです。そして見たら、また隠して、今度こそ自力で言えるかを試します。






一通り終わったら、思い出せなかったものに印をつけて、そこだけをもう一周します。そして、寝る前に最後の一周、翌朝にもう一周。時間を空けて思い出し直すたびに、記憶はどんどん抜けにくくなっていきます。
ご家庭では、「10回書きなさい」「ちゃんと覚えなさい」の代わりに、「隠して言えるか、試してみて」と声をかけてあげてください。
もし余裕があれば、夕食のあとに「問題出すよ」と、ワークから3問だけ口頭で出してあげるのも効果的です。お子さんにとっては、それが立派な「思い出す練習」になります。答えられたら一緒に喜んで、出てこなかったものは「じゃあ寝る前にもう1回だね」で十分です。
覚え方を変えて最初の定期テストで、彼の社会は79点になりました。あと一歩で80点台というところまで、一気に16点アップです。






しかも、彼の勉強時間は前より短くなっています。見ながら10回書く時間より、隠して思い出す3回のほうが、短くて済むからです。短い時間で、前よりずっと覚えられる。彼はこのやり方を理科の用語や英単語にも広げて、覚える系の勉強を一気に得意分野へ変えていきました。
変化はテスト前日にも表れました。今までは「全部書き終わること」がゴールだったので、覚えたかどうか不安なまま当日を迎えていました。それが今は、隠して言えるかどうかで仕上がりが自分で確認できるので、「ここまでは確実に思い出せる」とわかった状態で眠れる。この安心感も、本番の強さにつながっています。
覚え方の形を正すだけで、私が指導してきた生徒たちは次のような結果を出してくれています。
お子さんが「書いても覚えられない」状態なら、それは記憶力の限界ではありません。むしろ、何回も書き続けられる粘り強さがあるということです。その粘り強さの向け先を、「写す」から「思い出す」へ変えるだけで、努力はそのまま点数に変わり始めます。
今回の話をまとめます。
ただし、今回紹介した方法は、勉強法の正し方の一部です。実際の成績アップには、解き直しの進め方や、テストまでの時間の使い方など、いくつかの要素が組み合わさってはじめて結果につながります。
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