
大阪大学卒/塾講師歴5年/家庭教師歴6年/E判定から阪大へ逆転合格/勉強法を教えた生徒は「2週間で苦手教科が27→73点」「定期テストの5教科合計200点以上アップ」「E判定から3ヶ月で逆転合格」など、劇的な成績アップを多数達成/著書『成績があがる中学生の勉強法』『だから勉強ができない20の考え方』
12月、2学期末の三者面談。担任の先生から「家で勉強する時間を、もう少し増やしてください」「提出物は期限までに出しましょう」と言われた。
横に座ったお子さんは、うつむいたまま「はい」。お母さんも「家でも言っておきます」と答えて、面談は10分で終わった。
帰り道、何を言えばいいのかわからない。先生の言うとおり勉強時間を増やさせるべきなのか、それとも、もう本人に任せるしかないのか。
不安を感じている中1・中2の保護者の方は多いと思います。
この記事では、塾で何百回と保護者面談をしてきた元塾講師の私が、先生の言葉は正しいのに時間を増やしても3学期が変わらない理由をお伝えします。
そのうえで、帰り道にお子さんへ言ってほしい1つのことを、お悩みの方にお伝えします。
先に結論をお伝えします。先生の言葉は正しいです。でも、言われたとおりに時間を増やしても、3学期の面談でまた同じことを言われます。
先生が面談で見ているものと、点数を決めているものが、違うからです。
先生の手元にあるのは、提出物と授業態度と点数の一覧です。
点数を決めている「どの問題が×のまま残っているか」は、面談の資料には載っていません。それが載っているのは、家にある答案だけなんです。
だから帰り道にやることは、時間の約束ではありません。先生の「勉強を増やして」を、「どのテストの、どの問題か」に翻訳することです。
担任の先生は、30人以上の生徒の面談を数日で回します。
手元の資料は、各教科の点数の一覧、提出物の記録、授業中の様子です。
この3つから出てくる助言は、どの先生でもほぼ同じになります。家庭学習の時間を、提出物を、授業に集中を。先生に悪気はなく、言えることがそれしかないんです。
私も塾講師として、同じ言葉を何度も口にしてきました。だから、この言葉の限界もよく知っています。
2学期の数学が58点だったとします。資料に載るのは、58という数字と、中間からの上がり下がりだけです。
でも、点数を決めているのは数字の推移ではありません。中間で落とした一次関数の問題が、期末でも×のまま残っていたこと。これが58点の中身です。
この中身は、答案を開かなければ見えません。そして答案は、学校ではなく家の引き出しにあります。先生には見えない場所です。
×の中身が見えない以上、先生が言えるのは「もっと勉強を」です。もっと、を具体的にすると、時間になります。
正しい助言です。ただ、お子さんの点数を変える力は、ほとんどありません。その理由を次で説明します。



面談の帰りに「1日1時間は机に向かおう」と約束したとします。お子さんは、約束を守るために何をするか。
ワークのページを進める。教科書を読む。ノートを見返す。これまでと同じやり方を、1時間に引き伸ばすだけです。
勉強には3つの段階があります。
解説を読めば納得できる「わかる」、時間をかければ自力で正解できる「できる」、何も見ずに迷わず手が動く「スラスラできる」。
テストで○になるのは、スラスラできるまで来た問題だけです。
同じやり方の時間を増やしても、増えるのは、わかる止まりの問題です。×は×のまま、時間だけが増えます。
三者面談が、塾の面談と決定的に違うところがあります。本人が横に座っていることです。
先生に言われ、隣でお母さんがうなずき、帰り道に「先生もああ言ってたでしょ」と念を押される。
お子さんにとって面談は、2人がかりで、もっとやれ、と言われた日になります。
何をやればいいかは、相変わらずわからないままです。わからないことを2人から言われた子は、動けなくなります。
面談のあとに機嫌が悪くなるのは、反抗ではなく、行き場がないからなんです。



時間を増やし、同じやり方で冬休みを過ごし、学年末テストの点数が変わらない。資料に載るのは、また同じ数字です。
先生は同じ資料を見て、同じことを言います。
変わっていないのは、お子さんのやる気ではなく、勉強の中身です。ここを変えない限り、面談は毎回同じ10分になります。
帰りの車の中、または夕飯のあと。お子さんに言ってほしいのは、この一言です。
先生が言ってた家での勉強って、どのテストの、どの問題のことだと思う?帰ったら、2学期の答案を1枚だけ見せて。
先生の「もっと勉強を」は、家に帰った時点で「どの問題を○にするか」に翻訳する必要があります。翻訳できるのは、答案を見られる家庭だけです。
この一言は、お子さんを責めていません。先生の言葉を一緒に読み解く側に、お母さんが立っています。
2人がかりで言う人から、翻訳を手伝う人へ。この立ち位置の違いが、面談のあとの2週間を決めます。
5教科すべてをやろうとしないでください。1教科で、×が○になった、を一度作ることが、冬休みの目的です。
提出物の指摘を受けた家庭は、「出す」ことに全力を注ぎます。出すことは大切です。ただ、ワークを埋めて出すだけでは点数は変わりません。
出すための作業と、×を○にする勉強を、別の時間に分けてください。
提出は提出、点数は答案の×。この2つを混ぜると、提出は間に合っても点数は変わらないままになります。
冬期講習を申し込む前に2学期の答案で×の数を数えてほしい理由は、こちらの記事に書きました。面談のあとに講習をすすめられた方は、合わせてどうぞ。
量を増やす前に質を変える考え方と、前回のテストの×がいちばんのヒントになる理由、勉強の終わりに「今日は何ができるようになった?」と確かめる習慣は、無料の7日間講座で1日1テーマずつ具体的に解説しています。


塾で成績が伸びた子と伸びなかった子を比べると、勉強時間の差はほとんどありませんでした。差があったのは、時間の中身です。
×を○に変える時間が入っているか、入っていないか。時間は、中身が正しくなってから増やすものです。順番が逆になると、増やした分だけ疲れて終わります。
面談で先生に厳しく言ってもらい、本人が変わることを期待する方は多いです。
でも、何をすればいいかがわからないままの危機感は、不安にしかなりません。
お子さんが動き出すのは、「この問題を○にすればいい」と手をつける場所が見えたときです。危機感は、その後についてきます。
2学期の答案に残った×は、消えずに中3まで持ち越されます。
中3の模試で落とす問題の多くは、中1・中2で×のまま置かれた問題です。
今の面談の言葉を「問題」に翻訳できた家庭は、中3の秋に戻る場所が少なくて済みます。受験に関係ないどころか、いちばん安く手を打てる時期が今なんです。
私が塾で見ていた、中1の女の子です。2学期の期末テストで理科が27点。
三者面談で「家庭学習の時間が足りないようです」と言われ、お母さんは冬休みの勉強を毎日2時間と決めました。
本人は約束どおり机に向かいました。やっていたのは、ワークの2周目を最初のページから進めることです。
1月に塾で会ったとき、冬休みに解いた問題の数は多いのに、期末で落とした問題はまだ解けませんでした。
期末の答案を一緒に開くと、理科の×は22問。そのうち、解説を読めば本人が「ああ、これか」と言える×が16問ありました。
光の反射と、密度の計算に固まっていました。
先生の「時間を増やして」は、この16問を○にしてください、という意味だったんです。資料に載っていなかっただけで。
1月から3週間、理科はこの16問だけを日をあけて5回解き直してもらいました。
勉強時間は1日30分。冬休みの2時間より短くなりました。
学年末テストで、理科は27点から73点。3学期の面談で先生に言われたのは「理科、何があったんですか」でした。






教科の中身がわからなくても、翻訳はできます。使う言葉は、この4つで足ります。
「何時間やった?」と聞くと、お子さんは時間を答えて終わります。
「どの問題が○になった?」と聞くと、お子さんは今日解いた問題を思い出します。面談の言葉が、この質問で初めて勉強の中身につながります。
3学期の面談に「○になった問題」を持っていけた家庭は、先生との会話が変わります。時間の話ではなく、問題の話ができる面談になるからです。



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