理科・社会の記述問題を白紙で出す中学生へ|「わからない」のではありません。用語は書けるのに記述だけ空欄になる本当の理由と、模範解答を「写してから白紙で書く」2週間の直し方を元塾講師が解説

この記事を書いた人
NAO / 家庭学習法アドバイザー

大阪大学卒/塾講師歴5年/家庭教師歴6年/E判定から阪大へ逆転合格/勉強法を教えた生徒は「2週間で苦手教科が27→73点」「定期テストの5教科合計200点以上アップ」「E判定から3ヶ月で逆転合格」など、劇的な成績アップを多数達成/著書『成績があがる中学生の勉強法』『だから勉強ができない20の考え方』

返ってきた理科や社会の答案を見ると、用語を書く問題はほとんど○なのに、「理由を説明しなさい」「資料から読み取れることを書きなさい」の欄だけが空白のまま。

聞いてみると、お子さんは「わからなかった」「何を書けばいいかわからなかった」と言う。

用語はこんなに覚えているのに、記述が全部白紙では、1教科で10点も20点も失っている。もったいないと感じている方は多いと思います。

この記事では、元塾講師の私が、用語は書けるのに記述だけ白紙になる本当の理由と、2週間で記述が点に変わる「写してから書く」順番を、お悩みの方にお伝えします。

 
理科も社会も、一問一答はできるんです。でも記述は毎回白紙で…。文章を書くのが苦手なタイプなんでしょうか。

先に結論をお伝えします。記述が白紙なのは、分かっていないからでも、文章が苦手だからでもありません。

記述の答えの形を、一度も白紙の上で再現したことがないからです。

用語の練習は何十回もしているのに、記述の練習はゼロ。しかも答え合わせのとき、記述の×だけが解き直しから外れています。

だから、用語がいくら増えても記述は白紙のままなんです。模範解答を写してから白紙で書く順番に変えるだけで、記述は2〜3週間で点になります。

目次

用語は書けるのに、記述だけ白紙になる3つの理由

理由1 理社の勉強に、記述の練習が1回も入っていません

テスト前のお子さんの理社の勉強を、思い出してみてください。

  • 一問一答を何周もする
  • ワークの穴埋めを解いて、赤で直す
  • オレンジのペンで書いて、赤シートで隠して確かめる

どれも「用語を思い出す」練習です。真面目にやっている子ほど、この3つを何十回も繰り返します。

ところが記述問題は、用語を知っているだけでは書けません。どの用語を、どの順番で、どんな文末で書くかまで決めて、初めて答えになります。

テスト範囲の勉強の中で、記述の答えを自分の手で白い紙に書いた回数は、ほとんどの子がゼロです。

練習していないことは、本番でもできません。当たり前のことなのに、記述だけはこれが見過ごされています。

理由2 答え合わせで、記述の×だけが解き直しから外れます

用語の問題を間違えたら、赤で直して、もう一度書きますよね。

でも記述の×は、「書けなかったから」で終わります。模範解答を読んで「ああ、そういうことか」と思って、次のページへ進む。

空欄には赤を入れる場所もないので、×としても数えられません。

用語の×は回を重ねるごとに減っていくのに、記述の×だけが、いつまでも残り続けるんです。

私が塾で見てきた、理社の点数が止まっている子の答案は、ほぼ例外なくこの形でした。

用語の○は増えているのに、記述の欄だけが前回と同じ空白なんです。

理由3 白紙の子は「完全な答え」以外を書いてはいけないと思っています

記述の採点は、「知っているか」では決まりません。

  • 原因と結果の順番で書けているか
  • 決められた言葉(キーワード)が入っているか
  • 聞かれた形に合った文末で終わっているか

この要素ごとに点がつきます。だから1文でも書けば部分点が入るのに、白紙は採点のしようがなく0点です。

白紙にする子は、模範解答のような文を丸ごと思い出せないと書いてはいけないと思っています。

「全部思い出す」が目標になっているので、手が止まるんです。

塾では、問題の状態を3つに分けて見ていました。

説明を読めばなるほどと思える状態、自分の手で正解を書ける状態、日をあけても迷わず書ける状態です。順に「わかる」「できる」「スラスラできる」と呼びます。

用語は「できる」まで来ています。記述は「わかる」の手前で止まっているんです。模範解答を読んで納得はしても、自分の手で書いたことが一度もないからです。

NAO
白紙は「分からなかった」の証拠ではありません。「一度も書いたことがない」の証拠です。書いたことがないものは、誰でも書けません。だから、直し方もはっきりしているんです。

直し方は「模範解答を写してから、白紙で書く」。順番はこの7つです

用意するのは、テスト範囲のワークとプリント、その模範解答、白い紙だけです。新しい教材はいりません。

  1. ワークとプリントから、記述問題だけを抜き出す。「なぜ」「理由」「説明しなさい」「読み取れること」が目印。1教科10〜15問になる
  2. 1回目は、模範解答をそのまま写す。見ながらでいい。これが解き直しの1回目
  3. 模範解答を隠して、白い紙に自分で書く。思い出せないところは空けておいていい。ただし白紙にはしない
  4. 模範解答と並べて、違うところに線を引く。見るのは3つ。抜けた言葉、原因と結果の順番、文末が問いに合っているか
  5. 日をあけて、もう一度白い紙に書く。翌日でも3日後でもいい
  6. 2回続けて、模範解答と同じ言葉と順番で書けたら○。書けなかった問題だけ、また写すところからやり直す
  7. テスト本番で思い出せなくても、分かる要素だけ書く。白紙だけは出さない

1教科10〜15問なら、1日15分で2週間あれば全部回せます。用語の練習を半分に減らして、その時間を回してください。用語はもう足りています。

理科の記述は「原因」と「結果」の2つの箱です

理科の記述は、ほとんどが「〜なので、〜になる」の形です。前半が原因、後半が結果。箱が2つあるだけなんです。

たとえば「石灰水が白くにごったのはなぜか」なら、「二酸化炭素が発生したから。」で満点です。

問いが「なぜか」なら文末は「から。」、「理由を書きなさい」なら「ため。」、「どうなるか」なら結果の箱だけを書きます。

原因の箱に入る言葉は、ワークの用語欄にすでにある言葉です。新しく覚えるものは1つもありません。並べ方を練習するだけです。

社会の記述は「資料の言葉」と「だから」です

社会の記述は、資料やグラフとセットで出ます。

「この地域で稲作がさかんな理由を、資料から書きなさい」なら、「平野が広く、川から水を引きやすいから。」のように、資料にある言葉を1つ入れて「だから」でつなぎます。

「資料から読み取れることを書きなさい」なら、増えたのか減ったのか、何がいちばん多いのか。資料の中の数字や言葉をそのまま使えば、部分点は必ず入ります。

自分の言葉で上手に書く必要はありません。資料の言葉を借りて、問いの形で終える。それだけで○になります。

 
模範解答を写すのって、カンニングみたいで、やっちゃいけないことだと思ってた。
NAO
写すのは1回目の練習です。写したあとに隠して書くから、2回目で自分の×が見つかります。写さずに白紙のまま次へ進むほうが、よほどもったいないんです。

写してから白紙で書く解き直しを、スラスラ書けるまで何回繰り返すかという回数の目安と、前回のテストの×を次のテストのいちばんのヒントにする考え方は、無料の7日間講座で1日1テーマずつ具体的に解説しています。

よくある誤解「記述は捨てて、用語で稼げばいい」の正体

誤解1 記述は配点が少ないから、捨てていい

記述は1問3〜4点で、1枚の答案に4〜6問あります。1教科で10〜20点分です。

用語の問題を今より10問多く取るのと、記述を3問書くのと、どちらが早いか。

期末テストのように範囲が広いときほど、用語の積み増しには限界があります。記述のほうが、はるかに近い点数です。

誤解2 記述は国語力や文章力の問題

理社の記述は、作文ではありません。模範解答は30〜40字で、使う言葉は教科書とワークに全部そろっています。

必要なのは文章力ではなく、形です。形は、写して、隠して書けば手に入ります。読書量を増やす必要はありません。

なお、国語の記述は理社とは落とし方が違います。国語の答え方の直し方はこちらの記事に書きました。

誤解3 用語を完璧に覚えれば、記述も書けるようになる

用語が増えても、並べ方の練習がなければ白紙は白紙のままです。用語8割の子が記述を白紙で出しているのが、その証拠です。

用語の勉強を減らしてでも、記述を写す時間を先に取ってください。用語は記述の練習の中でも、もう一度使われます。減らしても落ちません。

記述12問が全部白紙だった中2が、社会46点から78点になった話

用語は8割取れていたのに、46点

個別指導塾で担当した、中2の男の子です。社会の中間テストが46点でした。

答案を見ると、用語を書く問題は8割が○。ところが記述の12問は、全部白紙でした。失点のほとんどが、この12問に固まっていたんです。

本人は「書き方がわからない」。お母さんは「社会は暗記なのに、どうして」と首をかしげていました。

原因は、記述を一度も自分で書いていなかったこと

テスト勉強の中身を聞くと、一問一答を3周していました。ワークの記述欄は、提出のために最初から答えを写して終わり。解き直しをしていたのは用語だけでした。

記述を、隠して自分で書いたことは一度もなかったんです。知識は足りていて、形だけがなかった。これなら2週間で間に合うと判断しました。

2週間、写してから白紙で書いただけ

期末までの2週間、テスト範囲のワークとプリントから記述を26問抜き出しました。1日15分。初日は写す、翌日は隠して書く、並べて線を引く。これを回しただけです。

一問一答は1日おきに減らしました。

期末テストの社会は、46点から78点になりました。記述は12問のうち9問に点がつき、記述だけで20点以上増えています。

減らしたはずの用語の点も、落ちていませんでした。

 
白紙じゃなくなっただけで、30点以上も変わるんですね。暗記が足りないんだとばかり思っていました。
NAO
足りなかったのは暗記ではなく、記述を自分の手で書いた回数です。用語を覚える力はもう十分あったので、形を手に入れたらすぐに点になりました。点数の差は才能でも勉強量でもなく、何を練習していたかの差なんです。

お母さんにできるのは「わかんなかったの?」ではなく「写してみて」の一言です

答案が返ってきた日に、記述の×を1問だけ、模範解答を写してもらってください。全部でなくていいです。

そのとき使う言葉は、この3つです。

  • 「この記述、模範解答を1回写してみて」
  • 「隠して書いてみたら、どこが違った?」
  • 「文末、聞かれ方に合ってる?」

「わかんなかったの?」は、お子さんにとって責められる質問です。答えは「うん」しかなく、次につながりません。

「写してみて」は、今日その場でできる行動です。

中身が正しいかどうかは、お母さんが分からなくて構いません。模範解答と並べて、違うところに線を引くだけなら、教科の知識がなくてもできます。

白紙だった欄に1行でも書けた日が、お子さんにとって記述が「できる」に変わった最初の日です。その日は、点数より先にそこをほめてあげてください。

まとめ 理社の記述は「写してから白紙で書く」で2週間で点になります

この記事のまとめ
  • 記述が白紙なのは分かっていないからではなく、記述の答えの形を一度も白紙の上で書いたことがないから
  • 用語の練習には記述が入っておらず、答え合わせでも記述の×だけが解き直しから外れて、いつまでも残る
  • 記述は要素ごとに採点される。1文でも書けば部分点、白紙は0点。「全部思い出す」を目標にしない
  • 直し方は、範囲の記述を抜き出す→模範解答を写す→隠して白紙に書く→並べて線を引く→日をあけてもう一度。2回続けて書けたら○
  • 理科は原因と結果の2つの箱、社会は資料の言葉と「だから」。新しく覚えるものはなく、並べ方の練習だけ
  • 声かけは「わかんなかったの?」ではなく「模範解答を写してみて」。答案が返った日に1問だけ
NAO
次のテストの答案で、記述の空欄が1つでも減っていたら、それが変わり始めた印です。白紙を1行に変えるところから、今日始めてみてください。

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