
大阪大学卒/塾講師歴5年/家庭教師歴6年/E判定から阪大へ逆転合格/勉強法を教えた生徒は「2週間で苦手教科が27→73点」「定期テストの5教科合計200点以上アップ」「E判定から3ヶ月で逆転合格」など、劇的な成績アップを多数達成/著書『成績があがる中学生の勉強法』『だから勉強ができない20の考え方』
周りの子は7月に部活を引退して、夏休みから塾の講習に通っていた。うちの子は吹奏楽部のコンクールや駅伝の大会があって、10月末、ものによっては11月まで部活が続く。
帰宅は夜7時すぎ。疲れて机に向かえない日もある。秋の模試では、夏から勉強していた子との差がはっきり見えてきた。
「3ヶ月の遅れを、残りの時間で取り戻せるのか」と不安を感じている方は多いと思います。
毎年この時期に、必ずいただく相談です。
先に答えをお伝えします。引退が遅いことは、不利ではありません。3ヶ月の差の正体は、勉強時間の差ではないからです。
引退の遅い子が本当に負けるのは、部活をしている今ではなく、引退した日です。引退日を「受験勉強を始める日」にした子から、追いつけなくなります。



7月に引退した子の夏は、だいたいこうなっています。
時間にすれば、たしかに200時間以上の差です。
ところが、秋の模試でその子たちの点数が上がっているかというと、そうではありません。
私のもとに秋に届く相談で、いちばん多いのは「夏期講習に毎日入ったのに、点数が変わらない」というものです。夏の3ヶ月の多くは、授業を聞いて「わかった」で止まる勉強に消えています。
勉強には3つの段階があります。授業を聞いて納得する段階、自分の力で正解できる段階、見た瞬間に手が動く段階です。
入試の点数になるのは、2つ目から先だけです。1つ目の段階の問題を1000問積み上げても、本番では解けません。
だから、夏に引退した子との本当の差は、勉強時間ではなく、一度×になった問題を、自分の手で○に変えた数の差です。
そしてこの数は、夏に200時間勉強した子でも、数十問しかないことがほとんどです。
1日1問、×を○に変える。これなら帰宅後の15分でできます。
7月から10月末までは、およそ100日あります。1日1問を続けた子は、100問の×を○に変えています。夏に200時間かけた子の数十問より、多いんです。
今日から始めても、引退までの数週間で20問、30問は作れます。それだけで、差の大半は埋まります。
これが、引退が遅いことが不利にならない理由です。差は時間ではつかず、○にした問題の数でしかつきません。






引退した日、多くの家庭で同じことが起きます。「さあ、今日から受験勉強だ」と、新しい問題集を買い、塾の講習を申し込み、1日5時間の計画を立てる。
気持ちはよくわかります。でも、これが引退の遅い子がいちばん時間を失う瞬間です。
新しい問題集は、最初のページから始まります。中1の範囲からやり直そうとして、11月いっぱいが中1の復習で終わる。
講習に入れば、毎日新しい単元の授業を聞きます。「わかった」は増えますが、○にする時間が消えます。
気がつくと12月。引退してから1ヶ月、○に変わった問題がほとんどないという状態になります。ここで初めて、本当に3ヶ月の差がつくんです。
「部活が10月末まであり、やることが多いと固まってしまって、何から手をつけたらいいかわからなくなる」という相談を受けたことがあります。
これは、お子さんの性格の問題ではありません。引退した日に、選択肢が一気に増えたから止まるんです。
部活では、今日の練習メニューが決まっていたから体が動いた。勉強でも同じで、やることが1つに決まっていれば、疲れていても手は動きます。



これだけです。1日15分、1問。引退までの数週間で、お子さんの中に「×を○にする型」ができあがります。
引退した日にやることは、1つだけです。同じやり方のまま、15分を60分に、1問を4問に増やす。
教材は足しません。使うのは、引退前と同じワークと模試の答案です。
講習に入るなら、「わかる」を増やす場ではなく、×を見つける場として使ってください。講習で出た×を、その日の4問に入れる。これなら講習が点数に変わります。
引退日に変わるのは、時間と問題数だけ。やり方が変わらないから、お子さんは止まりません。
11月に引退すると、入試まではおよそ100日です。1日4問を○にすれば、400問。夏に引退した子が「わかった」で止めた問題の数を、ここで追い抜きます。
残り100日で何をやめて何を残すかは、こちらの記事で詳しくお話ししています。
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辞めても、増えるのは時間だけです。やり方が固定されていなければ、増えた時間は「わかった」で止まる勉強に消えます。
それよりも、最後までやり切った経験のほうが、受験で武器になります。できるまで繰り返す練習を3年間やってきた子は、×を○にする反復に耐える力をすでに持っています。
これがいちばん多い判断で、いちばん危ない判断です。今日の1問をやめると、引退日が「始める日」になります。
1日15分の1問は、部活の邪魔になりません。むしろ、引退日に止まらないための保険です。
講習は「わかる」を作る場です。○は、家で自分の手で解いたときにしか作れません。
講習を増やすなら、○にする時間が家に残る量までにしてください。1日4問の×を○にする60分が消えるなら、その講習は増やしすぎです。
私が見てきた中に、吹奏楽部で10月末のコンクールまで、毎日夜7時すぎまで練習していた中3の子がいました。
9月の模試で、理科は27点。お母さんは「周りはもう3ヶ月やっている。今から追いつけるのか」と、かなり焦っていました。
この子には、引退まで新しいことを何も始めてもらいませんでした。帰宅後の15分で、模試の理科の×を1問だけ、解説を読んでから答えを閉じて解き直す。それだけです。
コンクールの前の週は、0問の日もありました。それでも、やり方だけは変えませんでした。
11月に引退した日、この子がやったのは、15分を1時間に、1問を4問に増やしたことだけです。教材も、やり方も、部活中と同じでした。
すでに型ができていたので、引退した日から1日も止まりませんでした。
引退から2週間後の模試で、理科は27点から73点になりました。○にした問題と同じ単元が、そのまま出たからです。
夏から勉強していた周りの子の多くは、この2週間でほとんど点数が変わっていませんでした。






遅れているのは時間であって、○にした問題の数ではありません。この言葉は、お子さんに「引退したら一気にやらなきゃ」という焦りを植えつけ、引退日を「始める日」にしてしまいます。



「勉強したの?」ではなく、1問を一緒に選んであげてください。選ぶところまで手伝えば、疲れていても手は動きます。



この一言で、お子さんは引退日に止まりません。新しい問題集も、新しい計画も、いりません。
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